くすだの趣味ログ

くすだの好きなものについてぐだぐだ語るブログ。-音楽・読書・映画-

ただの伊坂幸太郎ファンによるおすすめ集

今年もあと少しで終わりですね。

わたしが暮らす北海道では昨日とんでもない爆発事故が起きました。

今は札幌から離れていますが、学生時代の友人とかは暮らしているのでちょっと心配でした。

ニュースから目が離せないですね。スプレー缶…こわいこわい。

 

今年は、たくさんの音楽に出会えた年でした。

個人的には社会人2年目となり、会社や先輩、上司のいい部分・悪い部分の両方が見えてきたり、後輩が入ってきて接し方に困ったり。

仕事と自分の思いのギャップが日に日に大きくなっていって、それがストレスとなって悩みが大きくなったり…

あとは体調も元々の持病が悪化して、あまりいい年ではなかったように思います。

ただ、悩む時間が長いと音楽を聴く時間は増えました。あと、本もたくさん読みました。

自分の中で音楽と本の存在の大きさを知りましたね。

 

そんなこんなで、今日は音楽の話題ではなく、ちょっと本の、作家さんのお話をしようかな〜、と思います。

もう一つの、わたしを構成している大事なもの。

 

実は文学部出身なんですが、卒業論文でも取り扱った、わたしの大好きな作家さんです。

 

伊坂幸太郎とは?

 

伊坂幸太郎

千葉県松戸市出身、宮城県仙台市在住。

東北大学法学部出身の作家。

ジャンルはミステリーに分類されています。

代表作は、『陽気なギャングが地球を回す』(シリーズ化されている)、『死神の精度』、『グラスホッパー』、『ゴールデンスランバー』等。

 

2000年に『オーデュボンの祈り』にて、第5回新潮ミステリー倶楽部賞

2004年に『アヒルと鴨のコインロッカー』にて、第25回吉川英治文学新人賞と、『死神の精度』にて、第57回日本推理作家協会賞 短編部門

2008年に『ゴールデンスランバー』にて、第21回山本周五郎賞と、第5回本屋大賞

 

(以上は伊坂幸太郎オフィシャルサイトを参考としました)

 

こうして見ると、親しみやすい文体、内容の作家さんですが、なかなかに固い賞を受賞していることがわかると思います。

ちなみに、文学界で最も有名と言っても過言ではない直木賞/芥川賞については、受賞する前に辞退されています。

 

 

受賞作の中では、『ゴールデンスランバー』が最も有名なのではないでしょうか。

映画化もされ、そちらもかなりのヒットを飛ばしていたように記憶しています。

 

ただ!

今回は、伊坂幸太郎ファンであるくすだが!!

くすだの好みと偏見のみで!!!

最高だと思う作品をただただ紹介していこうという内容なのです!!!!

 

どこに需要があるのかは全く不明ですが、わたしの自己満足なのでよろしければお付き合いください。

 

①『オーデュボンの祈り』

 

デビュー作です。

なので、内容や文体はところどころに拙さがあるようにも感じます。

ただ、伊坂幸太郎の世界観はデビュー作から出来上がっていて、というか、どの作品よりも強く出ているように感じます。

 

あらすじ

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気づくと見知らぬ島、「荻島」にいた。

江戸時代以降から鎖国し、外界と遮断されていたこの島には、法律で殺人を許された男や、人語を操り、未来を見ることのできるカカシ等、妙な者たちばかりが住んでいた。

だが、伊藤が島にきた次の日、カカシは何者かに殺されてしまう。

なぜ、未来を見ることができるはずのカカシは自らの死を防ぐことができなかったのか?

誰がカカシを殺したのか?

伊藤はカカシの死の真相を追う。

 

 

カカシ殺しの真相を追う、という奇妙なミステリー。

普通のミステリーとはすでに設定から違います。

ネタバレはしない主義なので、内容を深くは語りませんが、この作品を読むと伊坂幸太郎の世界観が掴めると言っても過言ではないです。

 

法律により殺人を許された男、この人物が結構ミソで、人を殺すのに捕まったり裁かれたりしないんです。

その男の独断で、裁きを与え、殺す。

でも、権力や立場を使って横暴に振る舞い、本来なら裁かれるべき人間っているじゃないですか。

そういう奴に裁きを与えてるんですよね。治外法権で。

 

ここが、伊坂幸太郎作品のミソであり、勧善懲悪物と言われる所以。

その点が強く表現されているデビュー作です。

 

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

 

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー

 

吉川英治文学新人賞受賞作です。

 

あらすじ

大学入学で引っ越してきた椎名は、アパートの隣人、河崎に「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけられる。

河崎は本屋を襲い、広辞苑を盗むと言う。話に乗る気などなかったはずなのに、椎名はなぜか決行の夜、モデルガン片手に本屋の裏口に立ち、ボブ・ディランを歌っていた。

 

 

泣きます。

 

この作品を読んで泣かない人がいるのか?って作品です。

わたしはこの本を読み返すたびに泣きました。

 

動物愛、人間愛に溢れた作品です。

この作品も、勧善懲悪物になっているんですが、他作品と比べるとなんだかスカッとしないんですよね。

読み進めれば読み進める程、愛おしくなる登場人物への思いへの行き場がなくなるからかもしれません。

 

死んだ人間はどんなに思っても、思って思って復讐したとしても戻ってはこない—。

そうした、当たり前だけれど普段考えることのない事実を考えさせられる作品です。

 

ちなみに余談ですが、この作品は映画化もされており(物語の構成上、映像化は困難と言われていたにも関わらず見事映像化している)、椎名役を濱田岳さんが演じています。

作品の中で、「椎名の声はボブ・ディランに似ている」という台詞があり、Official髭男dismの藤原聡さんは、自身が濱田岳さんと声が似ていると言われていたことから「俺の声はボブ・ディランに似ているんだ!」と嬉しくなりいつも口ずさんでいたらしい。

そしてその後、某髭男メンバーから「似てないよ」と言われめちゃくちゃショックを受けたらしい。笑

 

余談でした。

 

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー [DVD]

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③チルドレン

 

短編集です。

主となる登場人物は、陣内という人物。

 

あらすじ

 

銀行の閉店ギリギリに入店した陣内とその友人、鴨居は銀行強盗の人質となってしまう。

そこで同じく人質となった盲目の青年、永瀬とも知り合う。

その銀行では、人質も犯人も全員がマスクを被った奇妙な状態にあった。(『バンク』)

それから12年後、陣内は家裁調査官となり、非行少年達と向き合っていた。

(表題作『チルドレン』、他3編収録)

 

短編集と言いつつ、登場人物は陣内とその仲間達だし内容も繋がるしで結局これは『チルドレン』という大きな括りの長編小説なんだと思います。

 

この作品、わたしにとっては、少年法について考えるきっかけとなった作品です。

少年法って、数年前も未成年者による残忍な事件が起きて結構な話題になりましたよね。

当時、大学生だったわたしは、衝撃とショックを受けました。

そして、思ったんです。殺された子は、生い立ちも、家族構成も、もちろん名前も、何もかもをマスコミによって公開されるのに、なんで殺した方は、何もかも隠されて、そんなに守られるの?と。

一部報道機関は実名報道を行っていましたが、賛否両論あったのは事実。

難しい問題です。

 

この作品に出てくる少年少女はさまざまです。

万引きや援助交際なんかも出てきます。

陣内や、陣内の後輩家裁調査官、武藤を通して、少年少女達と向き合い、少年犯罪を考える機会を与えてくれている、そんな作品だと思います。

続編の、『サブマリン』では、より重く考えることができる、と同時に恐らく『チルドレン』を読んでしまえば、みんな陣内が大好きになっちゃうはずなので(笑)、「陣内待ってました!」と思っちゃうこと間違いなしです。

『サブマリン』は、ちょっと鴨居についても考察を進めている点があるので、何かしら論にまとめられたらまた、書きたいと思っているところです。

 

 

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

 

 

サブマリン

サブマリン

 

 

 

④砂漠

 

あらすじ

 

入学した大学で出会った5人の男女。(北村、鳥井、西嶋、南、東堂)

ボウリングや合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇等、さまざまな事件、出来事を共にし互いの絆を深め成長していく。

 

 

学生時代を友人と色濃く過ごした時間というのは、多くの人に存在すると思います。

わたし自身、高校、大学の友人とは本当にかけがえのない時間を過ごすことができたと思っていて、そういう経験を思い出せる、そんな小説だと思います。

決して、北村たちのような日常は過ごしていません。笑

当たり前だけど超能力者の友人はいないし、麻雀にもハマってないし。笑

けれど、何か重なるような気がするというか、懐かしさを感じるんですよね。出来事は同じではなくても色濃さが近い。そういう感覚。

 

この作品、最初に読んだのは高校生の時でした。

そのあと、大学生の時も読み、社会人になってからも読みました。

どの年齢で読んでも感じるものがあるし、感じ方、捉え方が毎回違う。そして、社会人になってから読んだ今が一番、この作品を本当の意味で好きになれた気がします。

 

砂漠のラストで、北村はとある想像をしています。

ネタバレになるので言いませんが、ここが何よりもぐっとくるところ。

どんなに仲の良かった友人でも、だんだんと自分のことでいっぱいいっぱいになって、なかなか会えなくなってしまう。

 

わたしは昨年、とある出来事があって、若いから、元気だから、なんて言っていても、ある日突然会えなくなってしまうこともある、ということを痛感しました。

それからというもの、なるべく会える時に会いたい人と会おうと思い、地元に帰るたびにお久しぶりな友人たちと連絡を取り会ってきました。

それでもやっぱり、まあ今度でいっか、と思ってしまうこともあるし会いたいなあとは思うけど会ってない人もいる。

わかっていてもなかなか全ては行動に移せないし、タイミングが合わなくなってなかなか会えなくなってしまう。大人になるってきっとそういうことです。

その寂しさが、この作品を読むたびに懐かしさを与えてくれるのではないかと思います。

 

 

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

 

 

 

グラスホッパー

 

わたしが一番最初に読んだ、一番好きな伊坂作品です。

 

あらすじ

 

元教師の鈴木は、妻を殺された復讐をしようとしていた矢先、その妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。

「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしく、鈴木は彼の正体を探るべく、彼の後を追う。

一方、ナイフ使いの殺し屋・蝉と、自殺専門の殺し屋・鯨も、それぞれの思惑から「押し屋」を追い始める。

 

伊坂作品では今や有名な殺し屋シリーズの第一弾です。

第一弾が一番好きだな〜

 

大量の殺し屋が登場するんですが、どの殺し屋も個性豊かで魅力たっぷり。

全然殺し屋だと思っていなかった人たちが後々殺し屋だと判明したりもして、伏線回収が読んでいて楽しいです。

そして、語り手の鈴木。

伊坂作品は復讐をメインにしたものが多く、この作品はその典型なのですが、ここまで復讐する側がポンコツなのも珍しいです。ポンコツだけど、人間としての魅力は人一倍。心が優しいんですよね。

 

鈴木の奥さんを殺した男、寺原息子は本当に最低最悪で、復讐されて当然、という男。

この辺の爽快感は伊坂作品ファンにはたまらないでしょう。

殺し屋シリーズには、絶対的悪と正義、そしてそれ以外のユニークな殺し屋たちが登場するという構成です。

キャラクターの魅力はもちろんのこと、絶対的悪が裁かれる瞬間は最高なので、第一弾のグラスホッパーから是非是非読んでみて頂きたいです。

 

ただちなみに、第二弾はマリアビートル、第三弾はAX。

どれも読んでみて頂きたいです。

 

 

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

 

 



終わりに

 

もう他にもたくさんの作品をおすすめしたいんですが今回はここまで。

伊坂幸太郎作品は出るスパンが早くて、全く追いつけないのですが、これからも読み続けていきたいと思っています。

このブログが、誰かの参加になったら、とっても嬉しい。